ずっと過渡期

勤務しているは、Web制作会社。上司と話していて「この(Web)業界、この会社はいつも過渡期だよな」ってな話をした。IT企業ではないが(IT[ICT]といっても幅広いよね)、業種でいくとそこになる。TVCMも部署があるので、所謂、制作会社なのは間違いないのですが。

仕事のおわる時間は人によってバラバラだけど、一般的な会社と比較すると、ほんとに遅くまでやっている。放送、テレビ関係の会社も多分そうだと思う。制作会社だからではないが、制作会社だからでもある。企画から制作までこなしている。Webについては、もう個人レベルでつくるのは難しいのかなと思います。もちろん不可能ではないのですが、良い写真を撮影して、Flashに落し込んで、検索エンジンを意識したサイト設計をするとか考えると、一人じゃ、納期まで時間がかかる。。チームでやった方が良いと思う。

ブログ以外(ブログによっては複数人でデザインからプログラム、マークアップ、構築までやっている)のWebサイトでは、数多くの人間が参加している。プランナー、デザイナー、制作進行(マネージャー)、プログラマー、ディレクター、プロデューサーなど。音響などSEもいるところもあるだろうし、コピーライティングなどもいるところはいるかもしれない。ディレクターは制作進行を兼ねる場合もある。お客とのやり取りだけをする進行役というのもあるだろう。また、最近にはじまったことではないが、マークアップエンジニアやIA(インフォメーション・アーキテクチャ)とかいるところはいる。とにかく作業はこまかく細分化してきているのではないだろうか。一人でマルチに活躍するというのは、最近はあまりないと思う。一人でやる分には物理的限界があるし。

「ずっと過渡期」

自分の会社だけなのかもしれないけれど、例えばクライアントに企画した企画書などアーカイブなんてしていない(最近こそDB化しようということで動いているけど..)し、制作進行(マネージャー)の人は、なかなか定着することができず、会社をやめていく。。(脱線するが、このポジションは、派遣の方を入れては、辞められのループに近い。ポジション上、お客と制作サイドの板挟みになるのだが、まあ辛いのだろう。それから「身につくものがない」と言う人も中にはいる。個人的には、(先輩にも納得させられたが、)お客と直接、話をすることができるというのは大きなメリット。そいつが「身につくものがない」と言っても、モチベーションさえあれば、お客にとっても制作サイドにとっても、「彼に頼めば、良いものがあがってくる」ということに繁がることにもなる。窓口でもあり、間をとりまとめてくれる安心感などがあると思う。制作に直接的に携わらなくとも、良い仕事はできるフィールドなのではないだろうか。本人たちは気付かなくても。。毎日の変化、お客の発言などの変化、要求は何かというものに敏感に、アンテナを張ることが大切だと思う)。自分のやっていること、仕事に何らかの意味付けがなされない限り、仕事をすることに対してモチベーションは上がることはない。それは、例えば、世界中のWebサイトをこっそりブックマークしていくことや空いた時間にプログラムなんかをいじったりするなどでも良いかもしれない。些細なことでやる気はでてくるかもしれない。ざっとそれと思う原因、要素を挙げてみます。

(1) 多忙さ、わりに低賃金
Web制作への理解のなさによるやっつけ仕事がある。理解のなさより、Webってこんなに時間と工数、コストがかかりますよってなPR(認知)しないといけない。逆にこれだけお客の言う通りに実現するのは長い付き合いのせいなのかもしれない。まずはそこからだと思うのだが、これがそうもうまくいかない。競合と言っていいのか分からないが、同業者でも、セミプロでも、アマでもやろうと思えばサイトなんてすぐにできる。参入障壁が低いからだが、加えてお客の側もデザインやその質について、そのくらいでいいと思う人もたくさんいる。この業界だけでもないが、給料は年俸制が普通。年俸制なので残業代はない。というか、含まれている。このため早く上がろうが、会社に3日間泊まろうが、変わらない。また、これも会社に拠るだろうけど、年功序列でインセンティブがないため、やる気に繁がるものが「面白い」プロジェクト(もしくは大手企業のプロジェクト、タレントやアーティストと会えるような仕事)に携わることで自分を盛り上げるしかない。技術系の人だと、案件や要求に対して自分なりの新しいやり方を落し込んでプログラムすれば良いという人もいるだろうし、デザイナーでも自分なりのアプローチ、取り組みで実現すれば安い給料でも良しとする人もいると思う。中間管理職な人は、プロジェクトを円滑に進行させることや人事管理でモチベーションに繁げる。(これでモチベーションは上がらないな.. それより、良い仕事をするためには、顧客とWebについて情報の交流を深めること(単純に話をすることや企画や修正など受注・発注のプロセスを明確にしたり、工数や見積、スケジュールを厳格にし、そういう取引関係を構築していく努力をする)など、請負だけではなく、お客と話をすることが重要だと2年間制作会社に勤務して思う。多忙すぎて、なかなかお客のもとに足を運べないこともあるだろうし、会社にとっての根本的な収入のお得意先しか回わらないのでは、あまり先があるように思えない。それは一労働者が思うことであって、社長や企業を引っ張る人間にとっては、もっとちがった哲学があるのかもしれないが。) 納品後に制作物に対してお客の評判から、制作スタッフに還元(≒インセンティブ)を考えても良いと思う。

※なぜ多忙になるのか..
Webサイトの制作から考えると、新規立ち上げと更新・メンテナンスと大きく2つに分けられると思う。案件を新規で受注すると、立ち上げ時に比較的大きな予算を組む。更新・メンテナンスが発生するような案件(Webは更新しないといけないものだと僕は思う)では、制作会社は定期的な収入を得られるようになる。新規で受注した案件は、余程の失態が制作会社を含め、双方になければ、互いにWin-Winの関係をつくり、継続のお付き合いということになる。「継続=既存」となり、既存客は、蔑ろにはできない。が、しかし、新規の案件を多く受注するしか、大きな収入は得られない。既存客でもリニューアルを検討しているところには、それなりの予算を請求することは可能。更新やメンテナンスでいただく費用はたかが知れている。 良好な関係を構築すれば、既存も新規もどんどん増えていくと思う。そうなっていくので、忙しくなっていく。また、お客やその業種によってもニュースリリースや事業展開も相俟って更新の頻度が高い企業とそうでない企業とがある。中間管理職者は社内スタッフのキャパ、ポテンシャルを見極め、信頼できる外注先を常にストックしておく必要がある。作業の割り振り(スタッフィング)がうまい企業は、生き残る。 多忙さは喜ぶよりも、深刻だという意識がなければ、従業員(雇用されてる側、外部スタッフ含む)にとってもモチベーション、やる気を持続できない。

(2) 定着しない仕事、流動的な人
制作進行(マネージャー)、いわゆるPMと呼ばれる人は、なかなか定着しない(うちの会社だけ?)。これは、上記でも書いているけれど、板挟みでいることの辛さと、自分のやっていることに目的意識が明確になっていないことも原因のような気がする。また、そんな目的に値するゴール(お客の要求定義→最終便益)の設定を上司や先輩が教えていないケースもあるかもしれない。目的は自分で見つけたり、設定しないといけないと考える上司などもいるかもしれないが、少なくとも、業務の目標や目的、個人として身につけるべき技術などの指標や道標は提示してあげるべきだと思う。何をどのくらい、どのようなクオリティでつくれば良いのかなど目安やキャリアプランを常に意識させることで現状の業務に対してモチベーションを高める一つの材料になるはず。提示されないと放置されていると思う人間も中にはいる。本領を発揮させるためにも、何か積極的になれるものを見つけだすことをしないといけない。雇用された人間は「自分には合わない仕事だ」と思うなら、すぐにでも辞めて新たな仕事をするべきだろうが、だれもがそんな簡単にできることではないので、今やっている仕事をしながら、得られるモノ、併行しながら、やりたいこと(将来の自分につなげられるモノ)をするように時間を使うべきではないだろうか。「会社は3年くらい(勤務)」と言われるが、人間関係で特に問題なければ、今ある状況をフルに利用し、技術を身につけるべきだと考える。さっさと次へ行こう。もう日本という物語は終わったのです。 が参考になるかもしれない。

(3) 世間一般的にまだまだ低い認知、普及
WebやIT(ICT)の業界って、流行り廃りが激しい。かつ、お客やクライアント(長く付き合いのあるお客を除く)が「Webってなに?」というケースもまだまだある。それもITやWindowsが登場してから10年あまりという、いまさら確認すべき事項でもないけれど、とにかくまだまだ業界は未成熟。だから流行の波が押しよせてくると、さもそれに乗っていかないと手遅れになるような?感がよくある。ということはそれくらいもろく、流されやすい業界なのかもしれない。企業には確固たる哲学や思想があるはずだけども。若年層には、インターネットと言うとすぐに理解されるが、40歳も後半になると、よくわからないと言う人が多くなるのではないだろうか。会社のネットワークなどで精一杯かもしれない。それから、やはり10年そこらの業界なのでWeb制作においては、役割やポジションには曖昧さがあると思う。(2)、(3)の内容に関連し、もしかしすると自分のところだけかもしれないが、作業内容が細分化されている途中でもあるかと思うので、一人のスキルをどれくらいまで利用できるかの、範囲がアメーバのように拡大縮小しているような気がする。ITではなく、Webに限ると紙媒体(パブ)をやっていた人がWebに転職しているケースが多いのと、テレビ・映像系からWebに来る人が多い。このためか一般企業と比べ、勤務時間が曖昧な感じがする。

ちょっと近い?近くないかもしれないけど、参考になる記事がありました。「大卒が安定雇用を得られた時代の終焉」 最近は、ドッグイヤーなんて言葉すらももう聞いていないし、使うこともないですね。。今年は、Lifehacks系の書籍がすごくたくさん出版されたなと個人的に思います。時間管理術とか、ToDo管理とか。なんでそんな本がたくさん出版されるのかというと、やっぱりITとかWebとか(その他の業界も業態も)仕事のやり方が無数にあって、多忙すぎるわ、仕事のスタッフはクロスオーバーしているわ、作業の進捗が見えづらかったりとみんな(あらゆる業種の人たち)困惑しているのではないでしょうか。結局、まだまだ始まったばかりという感じなのでしょうか。過渡期でも何でもなくて、業界が産声をあげて数秒とかそんなレベルなのかもしれません。過渡期を魅力的と促えるか、否かで何か変わるかもしれない。